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ミレーの「落穂拾い」
先日、ミレーの絵の話を聞いた。ミレーといえば「落穂拾い」である。夕暮れに婦人が穀物を引いた後の落穂を拾っている絵である。だが、聖書には「落穂拾い」は禁じられているというのである。確かに「汝の穀物の落穂を拾うべからず」(レビ記)とある。 これも言葉にとらわれては理解できない。前提に「汝その地の穀物を獲るときは汝等その田の隅々までをことごとく獲るべからず」とあることに注意が要る。初めてこの言葉を聞いたとき私は、次期栽培の肥料のために多少の穀物を残すことかとか単純に考えた。が、「ここには貧しき人への配慮がある」と教えていただいた。つまり、「困窮者が残った麦などを拾い集めることは認めよ」ということのようだ。 人は人間としては平等だが、環境はさまざまで、不遇の時を送っている人もいる。 そこに思いを寄せる行為こそ人間らしい。聖書は地主に配慮を求めているということのようだ。 ミレーは「刈り入れ人の食事(ルツとボアズ)」という絵も残している。これは落穂ひろいをしていた貧しき寡婦ルツを地主ボアズが認めて村の一同に紹介するという絵である。つまり、この二枚の絵を並べて聖書を紐解くと初めてミレーの意図が理解できる。ミレーは貧しき人にも思いを寄せていたということのようだ。 仏典を読むときも「行間を読め」とよく指導された。文面だけを追ってはまだまだ理解不足というのだ。 「格言・金言」は比較的よく口にする。更に意図を理解して味わいを深めたいものだ。 2005.3.24 春彼岸会に
日時 2010年05月12日 15:29 |
分類項目:
和尚のひとりごと |
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